2012年4月23日月曜日

思い込み

ひとつの作業を考えるときに「一気に片付けたほうが効率が良い」」との思い込みは誰にでもある。
有名な例え話にニュースレターの発送作業を小さな娘に手伝ってもらった話がある。

封筒は一つずつ宛名ラベルと切手を貼り、ニュースレターを入れて封をしなければならない。
6歳と9歳の娘はどのように作業を進めればよいのかわかっていた。
「お父さん、まず、ニュースレターを全部折っちゃうの。それが終わったら宛名ラベルを貼って、それが終わったら切手を貼るの」

しかし、父親は、封筒をひとつずつ完成させていくほうがいいと言って、直感的に良くない方法で進めようとした。
子供たちは ―(我々の多くと同じように)― それは間違っている、「それでは効率が良くない」と主張。
親子で封筒を半分ずつ分担し、どちらが先に終わるか競争することになった。

勝ったのは父親だったが、それは彼が大人だったからだけではない。
封筒を一枚ずつ仕上げていくアプローチは非効率に見えるが、実はそのほうが早いのだ。
これは様々な研究で確認されているし、証拠となる動画もある。

封筒を一枚ずつ仕上げていくのは、「一個流し」と呼ばれる方法である。
その背景には小さな「バッチ」が持つ驚きのパワーがある。

段階的に進む作業において、ある段階から次の段階に進む仕掛品の量を「バッチサイズ」と呼ぶ。
例えば100枚の封筒で発送する場合、100枚のレターをまず折ってしまう。直感的に良いと感じる方法は、バッチサイズが100になる。
これに対して、バッチサイズを究極まで小さく、1としたのが1個流しである。

一見時間が掛かりそうに思えるのに、封筒を一枚ずつ仕上げていくほうが早いのはなぜなのだろうか。
その理由は、段階ごとにまとめて処理する方法では、途中まで処理した封筒を並べたり積み重ねたり動かしたりしなければならないが、
その部分の時間が直感では参入されないからだ。

同じ作業を繰り返したほうが効率的に思える理由として、もうひとつ、繰り返すほど作業に習熟するはずという思い込みがある。
しかし、このようなプロセス指向の作業では、全体的なパフォーマンスに比べて、部分のパフォーマンスは影響が少ない。

一つ一つのプロセスに要する時間が全く同じだった場合でも、バッチサイズは小さい方が効率的になる。
理由はさらに反直感的だ。
もし、折ったニュースレターが封筒に入らなかったらどうなるだろうか。
バッチサイズが大きい場合、作業がかなり進んでからでなければこの失敗に気づけないが、バッチサイズが小さければ、作業を始めると同時に気がつく。
封筒に問題があってうまく封が出来なかったらどうなるだろうか。
バッチサイズが大きい場合、全部の封筒からニュースレターを取り出し、新しい封筒を用意してそちらに詰め直さなければならない。
バッチサイズが小さければ、作業を始めると同時に気づき、方向修正ができる。

郵送というごくシンプルな作業なら、プロセスに潜むこのような問題がすぐに理解できるが、同じような問題は、大企業から小企業までどのような企業の仕事にも潜んでおり、深刻なトラブルを引き起こす。
バッチサイズが小さければ完成品が数秒おきに出てくるが、バッチサイズを大きくするとたくさんの製品を最後にまとめて送り出すことになる。
この時間スケールが時間単位だったら、日単位だったら、週単位だったらどうなるだろうか。
完成した製品を顧客が気に入らなかったらどうだろうか。
この問題を早期に発見できるのは、どちらのプロセスだろうか?

自分を信じることは非常に大切なことだが、「モチベーション」の言葉に酔って、自分を必要以上に信じ込まないこと。
特に多人数で動くプロジェクトの場合、思い込みでの仕事が非常に危険だとの認識を全員で持つことが重要だ。

参照元:The Lean Startup
http://lssacademy.com/2008/03/24/a-response-to-the-video-skeptics/











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