物不念 路行去裳 青山乎 振酒見者
都追慈花 尓太遥越賣 作樂花 佐可遥越賣
汝乎叙母 吾尓依云 吾乎叙物 汝尓依云
汝者如何念也 念社 歳八年乎
斬髪 与知子乎過 橘之 末枝乎須具里
此川之 下母長久 汝心待
柿本人麻呂
物(もの)思(も)はず、道行く行くも、青山(あをやま)を、振り放(さ)け見れば、
躑躅花(つつじはな)、にほえ処女(をとめ)、桜花(さくらばな)、栄え処女(をとめ)、
汝(な)れをぞも、吾(あ)に寄すといふ、吾(あ)をぞも、汝(な)れに寄すといふ、
汝(な)はいかに思ふや、思へこそ、年の八年(やとせ)を、
切り髪(かみ)の、よち子を過ぎ、橘(たちばな)の、ほつ枝(え)をすぐり、
この川の、下にも長く、汝(な)が心待て
物思いせずに道を歩いて、青い春の山を振り返れば、
そこに咲いているツツジのようにきれいな君、桜のように美しい盛りの君。
そんなあなたをわたしに引き寄せると言う。わたしをあなたに引き寄せるという。
しかし、荒山でも人が心を寄せれば、山も人に心を寄せると言うことだ。
8年の年月を、子供ならば断髪姿の稚児を過ぎる年頃になる、
長くのびた橘の末枝ほどの年月を過ごしてきた。
この川が下流に長くつづくように、あなたも気長に待ちなさい。
躑躅(ツツジ)って字はおよそ花らしくない漢字をあてる。
本来は「てきちょく」と読み、行って止まるとの意味を持つ。
中国で毒性のあるツツジを羊が誤って食べたところ、足ぶみしてもがき、
蹲(うずく)まってしまったと伝えられたことから漢字になり伝わったようだ。
万葉集では5月の花、皐月(サツキ)ではなく、躑躅(ツツジ)がよく読まれている。
今日の空(朝ブログ)
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